尿失禁

尿失禁の原因

尿失禁には、様々な原因があります。一人ひとりの尿失禁の原因はクリアになることはあまりありませんが、尿失禁のパターンによってある程度推測することが出来ます。

切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)

抑えきれない強い尿意とともに尿が漏れてしまう状態。急に起きる抑えきれない強い尿意で我慢することが困難になります。

なんとかトイレに行ける時もあれば、トイレまで間に合わずに失禁することがある状態です。脳梗塞後などに尿を出す排尿筋の過活動などが原因となります。

機能性尿失禁(きのうせいにょうしっきん)

身体機能の低下や認知症が原因で尿失禁が生じる状態。尿路に明らかな異常が無いにも関わらず脳梗塞でADLが低下していたり、認知症が原因でトイレの場所が認識できなかったりすることで起きる失禁です。

溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)

尿を十分に排出できないために膀胱が充満して、尿が漏れ出る状態。脳梗塞後に初期や薬剤(抗コリン薬、抗ヒスタミン薬など)、糖尿病などの末梢神経障害で起きることがあります。

腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)

腹圧がかかった時に尿が漏れ出てしまう状態。

混合性尿失禁(こんごうせいにょうしっきん)

複数のタイプが関与している状態。

これらのどのパターンに属しているかを確認して検査、治療を検討します。また、健康で中年の方で起きる尿失禁は過活動膀胱などが良く見られる原因です。(詳しくは過活動膀胱の記事をご参照ください。)

尿失禁の診療

問診

問診としては、以下の3点を重点的に伺います。

1 いつから起きているか
2 重症度、頻度、1回の尿量などはどのくらいか
3 手術歴、内服歴はどうか

検査

検査としては、尿検査や血液検査を最初に行います。背景に何らかの病気があって起きているのかを確認する意味合いです。その他、排尿日誌や残尿測定を行ないます。

尿失禁の治療

環境調整

まず第一に環境整備を行います。尿失禁がある患者さんではADLが低下している時が多いので、そのような時は、トイレの位置を近くしたり、ポータブルトイレを設置したり、手すりをつけたりします。また着脱が容易がズボンやパンツを着用するようにします。

次に水分摂取量が多い患者さんは飲水量は排尿日誌のデーターを参照にしながら飲水制限を行います。

薬物療法

その次に薬物療法を行います。薬物療法には、「蓄尿障害」と「排尿障害」の2つの障害に対するアプローチがあります。

蓄尿障害は尿を膀胱に貯めることが出来ない障害です。膀胱が広がってもすぐにトイレに行きたくなる状態を緩和してあげる治療をします。具体的には切迫性尿失禁や過活動膀胱での排尿筋の過活動を抑制する抗コリン薬、β3作動薬を投与します。時折、便秘や口渇などの副作用があるため注意が必要になります。

排尿障害は尿を膀胱から出す力が弱くなったり、通り道が狭くなっていることで起きる障害です。通り道を広げたりするような治療を行います。具体的には、α1遮断薬やコリン作動性薬剤と呼ばれる薬剤を使用します。